【活動報告】森の幼稚舎(2022年2月19日実施)
2022年2月19日(土)、今年度最終となる第4回目の「森の幼稚舎」を開催しました。
前回、9月に実施した森の幼稚舎では残暑の中で沢遊びを満喫しましたが、今回の森の幼稚舎は「真冬」の森の中! 溶け残った雪が豊富に残る森のフィールドの中で、子どもたちは寒さを跳ねのけ、元気に活動を行いました。
世の中では未だ感染症に関して落ち着かない日々が続き、思い切りの外遊び時間がなかなか確保できない昨今の状況の中、これまでの実施経験で蓄積したノウハウをもとに、感染対策をしっかりと施した上での屋外活動を中心とした時間を提供することができました。
今回もJR新宿駅の東南口に、朝8:30に集合です。朝の身を刺すような寒気を受け、少し早めに到着をして子どもたちを待ち受けているスタッフにとっても、まだまだ冷え込みが厳しいことを痛感させられるような気温でした。朝のスタッフミーティングでは、改めて受付の確認事項や本日の流れ、感染対策について共有を行い、子ども達が安全に楽しめるよう認識を合わせます。
寒気に身を震わせるスタッフを脇目に、集合してきた子どもたちの様子を見てみると、寒さのことなんて全く意に介していないようなワクワクの気持ちたっぷりの表情を浮かべており、今日の活動への期待の高さが感じ取られます。事前に心配された天候に関しても、朝の時点では太陽が顔をのぞかせるほどで、なんだか幸先の良さも感じます。
元気に「おはようございます」の挨拶を交わして、スタッフ、リーダーの顔を覚えたら、いよいよお家の方に「行ってきます」! 過去の森の幼稚舎の活動では保護者の方とご一緒に参加をしていた子どもたちも、今回は多くの方が子どもだけの参加を選択されていました。その一方で、今回初参加のお子様や、年齢が小さいお子様のうち何名かは保護者の方もお付き添いくださいました。スタッフ、リーダー、お付き添いの保護者、子どもたち、全員で25名の一団です。直前で4名ほどキャンセルが発生したので、30名を超える規模とはなりませんでしたが、真冬の森遊びという活動内容を考えると、大変多くの方がご参加くださったように感じます。
電車の中では、子どもたちは自分たちがどのように過ごさなければいけないのか、とてもよくわかっている様子でした。特にリピートで参加をしている子どもたちがきちんとした様子で静かに立ったり座ったりしているので、初参加の親御様も「みんな立派なお子さんたちですね…!」と感心されている様子でした。
新宿駅から高尾駅まで、「今日は何をして遊ぼうか」と小さな声で話し合う子たち、また窓の向こう遠くに見える山を眺めて「あっちの山まで行くのかな」などと呟く様子、さまざまな姿の中に、子どもたちがこれからの時間を楽しみにしている様子がよく伝わってきました。
高尾駅から乗り継いだ京王バスは、我々が団体で乗車することもあり、増発便を貸切状態で載せてくださいました。感染リスクのことを考えても、子どもたちのため、このような手厚いご配慮を頂けましたこと、バス会社の方には大変ありがたく感謝しています。
さて、最寄りのバス停まで辿り着くと、いつもの秘密基地へ向けて、最後の徒歩行です。高尾駅の近くでは未だ雪は見えなかったものの、バスを降りると早速あちこちに残雪が見え、子どもたちの興奮もさらに膨らみます。林道を歩くときにも、轍となった雪の上にわざと乗ってみたりしてはしゃいでおり、都会の子どもたちは本当に雪が大好きなようです。
えっちらおっちらと林道を上がっていき、ようやく辿り着いた秘密基地! なんと敷地の中は、歩いてきた道とは比べ物にならないほどたくさんの雪が残っています! この場所を管理している、てんげんじこどものいえスタッフの仲間が、子どもたちが遊びに来るこの日のために、遊べる雪をたくさん残しておいてくれたのです!
もう子どもたちは早速遊び始めたくて、雪を眺めてそわそわ上の空…! でも、森の幼稚舎は「自分の責任で自由に遊ぶ」という冒険遊び場の考え方を踏襲して運営しているため、そのぶん最初の約束事は大事です。 フワフワに降り積もった雪であれば雪合戦のような遊びも良いのですが、今日の雪は氷も混じる残雪、また見えないところに石なども転がっているフィールドです。 今日は、雪は人に投げないという約束を交わし、活動範囲をみんなで確認したら、早速自由遊びの時間!
リーダーたちが手分けをして子どもたちを見守りますが、細かくあれこれと口出しをすることは控え、子どもたちの自主的な遊びを尊重します。雪や氷で足元もおぼつかず、ついつい大人の目からは、冷や冷やするような場面もあるように見えるものの、「このラインを超えたら本当に危険」という手前の小さなヒヤリを子ども達自身がたくさん経験する中で、自然と「どこまでやっても大丈夫か、どこまでやったら危ないか」ということを学んでいきます。 転びそうになったり、ちょっと寒かったり、焚き火の熱を感じたりする中で、自分ができることを少しずつ試し、また次へと向かうチャレンジを積み重ねていきます。
焚き火といえば、今回は雪の降り積もっている中での火おこしという、贅沢な経験も満喫できました。初めてマッチを擦るお子さんには、恐怖心を取り除く意味で一緒に手を添えて挑戦し、また何度も経験があるお子さんは初めての子に教えてあげられるように促す、そういった一人ひとりに合わせた関わり方を大切にして、みんなで火を大きくしていきました。
また、焚き火には目もくれずにひたすら雪の中で転げ回っている、子犬のような子どもたちもいます。フィールドの中のちょっとした傾斜をうまく利用して、手作りのそりで滑ろうと奮闘する子、人に投げない代わりに壁に向けて思い切り雪をぶつけてその度に「よっしゃー!!!」という絶叫をあげる子、小さな雪だるまをたくさん並べて作る子、それぞれ思い思いに真冬の森遊びを楽しんでいます。
午前中いっぱい、子どもたちの歓声が響くなか、お付き添いの保護者の方には、現地スタッフから温かいコーヒーが振る舞われ、お父様お母様も温かな火がゆらめくのを眺めながらホッと一息をついていらっしゃいました。
時計の針が真上を向く少し前、お昼ご飯の号令です。いつもなら外でシートを敷いて食べるところ、今回は雪のため、薪ストーブで十分に温められた快適な室内でいただきました。 てんげんじこどものいえのイベントでは恒例「いただきますを言ってくれる人?」の問いかけに、元気に名乗りを上げる子どもたち。みんなで声を合わせていただきますをして、お弁当でお腹をいっぱい満たしました。
お腹が減っていたこともあるかとは思いますが、これまでのキャンプでも食事中は静かにいただくことを約束としていたため、リピート参加のお子さんは特に注意をせずともおとなしく食事を進めており、立派な様子でした。
さて、昼食が終わると、スタッフがみんなのために用意していたマシュマロ焼きタイムです。中の火鉢と、外の焚き火とに分かれて、直火で炙ったトロトロマシュマロをビスケットに挟み、美味しいサモアの出来上がり! 何度も何度もおかわりを欲しがるお子さんもいて、食後のデザートは大好評でした! 「初めて焚き火でマシュマロを炙って食べた!」というお子さんも何名かいて、じっくり焼き上げてフワフワのトロトロになったマシュマロをニコニコ顔で頬張っていました。
さて、マシュマロにも大満足した子どもたちは、引き続き、雪遊びに没頭する子も多くいましたが、一部のお子さんは繰り返しブランコに乗りたがりました。スタッフが敷地内に手作りしたブランコは毎回大人気ですが、今回は周りの雪景色を眺めながらということでまた格別の気持ちよさだったようです。ブランコ → 雪遊び → ブランコ → 雪遊びと、何度も行き来して自分のやりたいことをとことん楽しもうとする姿は、本来の子どもらしさにあふれたとても微笑ましい様子でした。
ある保護者の方が「みんないろんな個性があって面白いですね」とおっしゃられている言葉をお聞きして、そうした優しい視線でご自身以外のお子様のことも温かく見守ってくださることが嬉しく思いました。また、別の保護者の方は、お連れになった小さいお子さんがお兄さんたちとの関わり合いの中で、遊び道具をめぐって軽い「洗礼」を受けたとお話になり、ただそれも大切な経験と受け止めてくださっており、大人の介入をなるべく減らして子どもたちが自由に遊ぶ時間・空間の中でさまざまな学びを経験することを大切にしている趣旨をご理解くださっていることも、また嬉しいことでした。
過去3回の森の幼稚舎では、夕方16:00頃まで秘密基地で過ごしていたのですが、今回は夕方以降の雨予報があったために、あらかじめ解散時刻を繰り上げる判断をしていたので、今回は基地出発も早めの14:30です。それに向けて、「そろそろ片付けるよ」の合図にも、みんなわがままを言わずにさっと切り上げて帰宅準備を行いました。これまで何度も、森の幼稚舎や、てんげんじこどものいえのキャンプに参加している子たちは、やはり遊びとそれ以外の時間のけじめがきちんとしていると感じます。大人の思惑通りに行動をするというよりも、みんなで一緒に楽しい活動をしている時に、自分だけがわがままを言っていてはいけないというような原則を、幼児や小学生であってもしっかりと理解をしている印象です。
最後の記念にみんなで記念写真を撮って、その後は朝登ってきた林道を今度は反対向きに下って帰途につきます。幸い、この時点で雨も降らず、また子どもたちもしっかりとサクサク歩くことができたので、早くバス停についてバス到着までの待ち時間が少し長く感じるほどでした。
順調にバスと電車を乗り継いで、新宿まで向かいます。車窓から見上げる空は次第に薄暗くなり始め、新宿駅のホームに降り立った時にはちょうどパラパラと雨が降っており、早めの帰宅としたことは正解でした。怪我や体調不良等、一切なかったこともあり、保護者の方にお子様をお引き合わせして、密となる滞留を避けるためそのまますぐに解散となりました。
真冬の森遊び、子どもたちにとっても思い出に残るような経験になっていると嬉しく感じます。
次回企画は、春らしく暖かくなっている頃、3⽉28⽇(月)〜3⽉29⽇(火)の「春の牧場と水族館キャンプ」が控えています。鴨川シーワールドとマザー牧場を1泊2日で巡り、帰りにはいちご狩りまで体験できる、充実の1泊2日キャンプ。しかもこの企画は、小さいお子さんも親子での参加が可能です! これからも、子どもたちに豊かな体験機会を引き続き届けてまいります!
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