
【活動報告】西伊豆アドベンチャーキャンプ(2025年7月22日~7月25日実施)
キャンプ最終日。目を覚ました子どもたちの表情はどこか落ち着きながらも、名残惜しさを含んだものに変わっていました。朝食の前に身支度や着替えを済ませ、寝具の片づけや送り返す荷物の整理を行います。リーダーの説明をよく聞きながら、シーツやかけ布団カバーを友達と協力して畳む姿は、2日目の朝に苦戦していたことなど全く感じさせない様子でした。それだけでなく、まだ終わっていないお友達を積極的に手伝ったり、年下の子の荷物を一緒に探してあげたりする様子も見られ、一人一人がこのキャンプを通じて、自立に近づいているということをひしひしと感じました。
朝食もしっかりといただき、これまでの3日間を支えてくれた宿舎「やまびこ荘」とはここでお別れ。
スタッフやリーダーたちがそれぞれの部屋をダブルチェックし、絶対に忘れ物が無いようにします。そうして、一つも忘れ物がないことを確認し、バスへと乗り込みました。

最終日の冒険は、「青の洞窟」探検。船で海中洞窟を巡る本プログラムは、天候や海況によっては欠航の可能性もあったものの、今年は晴天に恵まれ、無事に参加することができました。
乗船前に全員でライフジャケットを着用します。初日は着方がわからず戸惑っていた子も、最終日にもなるとすっかり慣れた手つきで着替え、リーダーのチェックを待っていました。全員分の着用が確認できたところで、船着き場へ移動します。
今年は人数が多かったため、2隻に分かれて乗船しました。桟橋から乗り込む際や、船内の段差にもリーダーたちは細心の注意を払い、滑ったり転んだりしないよう、子どもたちの手を取りました。遊覧船が出航すると、海風の心地よさがすぐに感じられました。沖に出ると、視界には西伊豆特有のダイナミックな断崖と青く澄んだ海が広がります。
初めて船に乗ったという子もいて、「ゆらゆらしていて不思議な感じ!」「風が気持ちいいね!」としきりに話していました。「あの岩は実はモンスターなんだよ!」と話す子もいて、子どもの想像力は無限大ということを改めて感じました。




そして、いよいよ青の洞窟に差し掛かると、船内は一気に静まり返り、どの子も息を呑んでその神秘的な光景に見入っていました。
内部は思ったよりも広く、天井の穴から差し込む太陽光が反射して、海中から広がる青い光に、歓声とともに「すごい…」「きれい…」という小さな声が重なります。ある子は、「ねえ、あれコウモリじゃない?」と細かいところまで観察していたのが印象的でした。


船内の放送で洞窟の成り立ちや、昔の伝説などの説明が流れる場面もあり、自然の美しさだけでなく、その背景にあるストーリーにも触れるひとときとなりました。
青の洞窟での神秘的な体験を終え、船を降りた後は、水分や塩分を十分に補給して、周辺散策に出かけました。
青の洞窟は正式名称を堂ヶ島 天窓洞と言い、上に空いた大きな穴から光が差し込むのが特徴です。船で入った洞窟を反対側から眺めた後、上に登って見下ろすと、船から見えた景色とはまた違った景色が広がり、「さっきまであそこにいたのって、なんだか不思議だね」という声も。さらに登り、高い崖の上から海を眺めれば、そこには湾内を一望する絶景が広がっています。この日は天気も良くかなり先まで見通すことができ、「水平線にタンカーがいるよ」と教えてくれる子もいました。そんな絶景をバックに写真を撮った後、バスに戻り、車内で昼食をとりました。
配られたお弁当を手に、最後の食事を味わいます。お弁当の後片付けにはすっかり慣れたもので、リーダーが声をかけるよりも早く、食べ終わった容器を重ねて待っている子もいて、後に控えた最後の冒険にわくわくしているようでした。
昼食を終えた後は、キャンプの最終イベント、堂ヶ島のトンボロ渡りへ。
トンボロとは、地形や潮位の関係で、干潮のときにのみ道が現れるという、子どもたちにとってはまさに「海のミステリーゾーン」。
バスを降りてしばらく歩くと、海の中に道ができているのが確認できます。この光景に「本当に海が割れてる!」と子どもたちからは驚きの声が上がりました。


ここでも安全のために、再度ライフジャケットを着用します。スタッフから、どこまでなら行ってもいいかの説明を聞いた後、グループごとリーダーと一緒に出発しました。普段は海の下に沈んでいる道を、不安定な足場を慎重にわたりながら、少しづつ波打ち際に近づいていきます。
足元には潮が引くときに残された潮だまりができており、海の生き物を探したり、波の感触を確かめたりと、それぞれが最後の自然との触れ合いを存分に楽しんでいました。



中には、「見て先生!カニ捕まえた!」と元気よく手を開いて見せてくれたとたん、隙間から逃げられてしまい、なんとしてでももう一度捕まえようとする子や、ヤドカリを捕まえて、「そっとしておいたら出てくるかな?」と手の上で歩く感触を楽しむ子、ゴロゴロとした石の上で手を取り合って渡る子や、潮だまりに小さな魚を見つけて、ほかの子に得意げに教える子の姿もあり、今回のキャンプで深まった仲間との絆が感じられる場面でもありました。



トンボロでの磯遊びを終えると、水分・塩分補給を行い、着替えをしてバスに戻ります。計画的に早めに着替えを始め、トイレなども事前に済ませたうえで、予定通りの時刻にバスに乗ることができました。
帰りの車内は、興奮冷めやらぬといった様子で、キャンプの思い出をお話しする子や、さっそく、洞窟探検やトンボロ渡りの様子を日記に書き留める子、自分で撮った写真を見て、思い出を振り返る子など様々。そうして行きと同じく休憩をはさみながら、バスは東京へ向かいました。
到着を控えた車内では、スタッフからの挨拶、そしてリーダーたち一人一人から感想の発表がありました。
これまでの楽しかった思い出や苦労を思い出したのか、「もう終わっちゃうんだね」とキャンプの終わりを惜しむような声も聞こえました。


いよいよ到着となったとき、この4日間でいろいろな歌を教えてくれたスタッフが、高らかに歌いだしました。それは、このキャンプ中に教えてくれたすべての歌でした。
初日は恥ずかしさや戸惑いなどから、なかなか声が出せなかった子も多かった印象でしたが、帰りのバスではほぼ全員が声を出し、まさしく大合唱と言えるような歌声が響きました。キャンプの締めくくりにふさわしい一体感を携えて、バスは解散場所へ到着しました。

今年は、教室の夏期講習と重なった都合から、解散式は行わず、路上でグループごとの解散となりました。リーダーが先に降りて、路上の安全を確認した後、子どもたちが順番に保護者の方と再会します。楽しかった思い出をいち早くお話しする子や、保護者の方が見えて安心し、思わず駆け寄る子など、その反応は様々です。
「また来年も来たい!」「次はあのアクティビティに挑戦する!」
そんな未来への希望が語られる中で、一人一人がこの4日間で確かに得たもの、自信、挑戦、達成感や冒険心、そして仲間との時間が確かなものとして心に刻まれていることが伝わってきました。最後に、スタッフや保護者の方々、そして共に過ごした仲間たちに向けて「ありがとう」と何度も言い合う姿に、このキャンプの持つ力を改めて感じました。
今回のキャンプでも、子どもたちは驚きと感動に満ちた体験を通じて、多くのことを感じ、学びました。
初めての挑戦に勇気を出して一歩を踏み出した瞬間、仲間と手を取り合いながら笑ったり、涙したりした時間。自然の中で過ごす非日常の4日間は、子どもたちの心と体をたくましく育んでくれました。
リーダーたちやスタッフとの関わりも、子どもたちにとってかけがえのないものになりました。年齢の違う仲間との生活の中で生まれた小さな気づきや、自分の想いを表現し、他者を思いやるやりとりの積み重ねが、子どもたちの確かな成長の土台となったことでしょう。
今年度も、安全と学び、そして冒険が共存する充実したキャンプとなりましたが、何よりの感謝は、私共を信頼して送り出してくださった保護者の方によるご信頼です。この経験が、子どもたち一人一人のこれからの人生にとって、小さくても確かな自信の芽となって育ち続けていくことを願っています。
【今後のキャンプ・体験活動】

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