【活動報告】森の幼稚舎 -秋のDAY CAMP編-(2023年9月10日実施)

2023年9月10日(日)、今年度第3回目となる「森の幼稚舎」を開催しました。

7月に実施した「森の幼稚舎-夏の清流沢遊び編-」では、蒸し暑さが続く中、夏だけの特別な体験である沢遊びを堪能し、涼しさと自然の美しさを体感する活動となりました。今回実施した「森の幼稚舎-秋のDAY CAMP編-」では、秋の気配を感じる暖かな気候と森の心地よい涼しさの中で、薪割りや火おこしをはじめとした飯ごう炊飯に挑戦し、思う存分自然を満喫しました。

当日の朝8:30、JR新宿駅の新南口に集合です。スタッフは、集合時刻の前にミーティングを行い、今日一日の留意事項について改めて共有し、子どもたちが安全且つ楽しく活動できるよう認識を合わせます。今回は、多くの幼児と付き添いの保護者の方々にご参加いただいたことから、スタッフを合わせて総勢32名での活動となりました。

集合時刻が近づくと、期待に胸を膨らませた子どもたちが集まり始めます。受付では、子どもたちが自分で挨拶をして、スタッフに名前を告げます。保護者の方に付き添われていても、「自分のことは自分でやる」という意識下で行う体験活動は、集合場所に着いた時から既に始まっています。今回は、初めて参加するお子様が多かったことから、ほとんどの子が受付でプレゼントの熊鈴を受け取り、嬉しそうにリュックに付けていました。

さて、今日一日を共に過ごすスタッフの自己紹介が終わると、いよいよ出発です。お見送りの保護者の皆様に元気よく「行ってきます」の挨拶をして、新宿駅のホームへと向かいます。

日曜日の朝とはいえ、電車の中はかなり混雑していました。子どもたちは、長時間立ちっぱなしであるにも関わらず、周囲に迷惑がかからないようお行儀よく過ごすことが出来ていました。小さな声でグループのお友達やリーダーとコミュニケーションを取る中、何度も体験活動に参加している小学生が、初参加の幼児に対して「次はこちら側のドアが開くから、邪魔にならないよう端に寄ってね」と声を掛けている姿もありました。大人に言われずとも、子どもたち自身が互いに注意し合い、社会性や常識を学び取っていくことこそ、幅広い学年の子どもが参加する体験活動の教育的意義とも言えます。他にも、「高尾駅まではあと何駅だろう」「この電車は後で各駅停車と待ち合わせるよ」など、電車に関心を抱き意気投合する様子も見られました。こうして、子どもたちは誰に教わることなく、主体的に社会の仕組みを学び取っていきます。

高尾駅に着くと、さっとトイレを済ませてバスに乗り継ぎます。バスの中もかなり混雑していましたが、子どもたちは身動きが取れない中でもきちんと自分の足で立ち、お行儀よく過ごすことが出来ていました。

バスが到着すると、一列になって現地まで歩きます。道中、木々の隙間から見える小川のせせらぎに癒されながら、子どもたちはさっそくいい匂いのする葉っぱや虫を見つけては感嘆の声を上げ、お友達と見せ合っていました。視界に広がる自然と、地面の落ち葉からほのかに香る秋の訪れを感じつつ、秘密基地へと向かって一歩一歩進んでいきます。

現地に到着すると、秘密基地を管理するてんげんじこどものいえのスタッフの仲間が、子どもたちを待ち構えていました。挨拶や注意点の確認などを済ませた後、さっそく自由遊びの時間が始まります!

手作りのブランコに乗って空を飛んだり、虫網を持って木の幹に張り付いているカタツムリを捕まえたりと、子どもたちは本能の赴くままに自然体験を満喫し、豊かな心を育んでいきます。中には、地面から浮き出た木の幹に躓きそうになるなど、大人がつい手を差し伸べたくなるようなハラハラする場面も見られます。しかし、これらを実際に体験することで、子どもたちは身体の使い方をはじめ、周囲の状況により時に危険が伴うことを学び取っていきます。こうした小さな経験の積み重ねが、子どもたちの「生きる力」を磨いていくのです。とはいえ、取り返しのつかない大きな怪我に繋がることがないよう、スタッフは次に起こることを常に想定して動き、子どもたちを静かに見守っています。

自由遊びの次は、今回のメインイベントである「飯ごうで釜めしをつくろう」の時間が始まります。まずは、薪割りです。ナイフを木材で叩きながら、木を細く燃えやすい形に割っていきます。スタッフのサポートのもと、怪我の無いよう細心の注意を払いながら、子どもたちは教わった手順に従って真剣に取り組んでいきます。初めは、力の加減が分からずなかなか割ることが出来なかった子も、何度も挑戦しているうちに身体でコツを掴み、上手に薪を割ることができていました。

薪割りの次は、火おこしです。火を付けやすいよう軽く丸めた新聞紙の周りに、自分たちが割った薪を乗せていきます。準備が整ったら、マッチを使って火を付けます。子どもたちは、初めてのマッチに緊張しながらも、無事に火を付けることに成功しました。火が付いたら、太めの薪を足してうちわで扇ぎ、火力を高めていきます。赤々と燃える火に、子どもたちは大興奮です。最初は、煙や熱さで傍に寄ることが出来なかった子も、積極的にうちわで扇ぐお友達の姿を見て、少しずつ火おこしに挑戦することが出来ていました。子どもにとって、最も優れた先生は「子ども」です。何気ない関わり合いの中で刺激を受け、互いに高め合って成長していきます。

さて、火が安定したら、いよいよお米を炊いていきます。今回はなんと、ただの白米ではなく「釜めし」、即ち炊き込みご飯を作ります!お米と水を飯ごうに入れたら、炊き込みご飯の素を入れ、蓋をして火にかけます。少し経つと、飯ごうから水が溢れてきます。この水が蒸気に変わったら、炊き上がりの合図です。子どもたちは、首を長くしながら飯ごうを見つめ、蒸気が出てくるのを待ちます。

しばらく経つと、子どもたちの興奮した声が聞こえてきます。

「あっ!煙が出てきたよ!」「もう炊き上がったかな?」

スタッフが確認し、「完成―!」という声が辺りに響くと、子どもも大人も大喜び!自分たちの力で一から作ったご飯は、どんな高価な食事にも勝ります。少し蒸らしたら、さっそく釜めしをお皿に盛っていきます。その横に、スタッフが腕によりをかけて作ったきのことお肉の炒め物も添え、お昼ごはんの完成です!

食べ始めると、「美味しい!」「上手に炊けている!」などといった感想が、あちこちから聞こえてきます。子どもたちは、自分が調理したお米を実際に食べることで、ご飯が食べられることへの感謝と、その過程にある多く人々の努力を体感します。子どもの好き嫌いは、このような物事の苦労を知る経験により、案外あっさりと解決されたりもします。大量に炊いた釜めしも、大人と子どもによるおかわりの行列で、あっという間に消えていきました。

食事を終えて片付けをしたら、すぐさま遊びを再開します。ハンモックで揺らされる子、草むらに隠れる虫を捕まえては虫かごに集める子、秘密基地の中心にある火おこし場で火を焚き続ける子……。子どもたちは、それぞれが自分の好奇心の赴くままに、思いっきり身体を動かします。

途中、7月の「森の幼稚舎-夏の清流沢遊び編-」で遊んだ沢へと向かい、みんなで水遊びも楽しみました。そこでは、見上げるような大きな杉の木に囲まれた清流が、心地よい音を響かせながら美しく涼しげに流れていました。子どもたちは、山から下ってきた新鮮な水に触れ、その冷たさに思わず感嘆の声を上げます。

「冷たい!」「水が透明で綺麗!」「涼しくて気持ちいい!」

水遊びの後には、色々な形の木材を用いた工作活動を行いました。スタッフや保護者の方々のサポートのもと、ノコギリで木材を切っては釘で繋げて、各々が作りたい物を自由に作っていきます。自分で作った世界に一つだけの作品は、子どもたちにとって大切な宝物です。作り終えたら、無くさないようリュックに入れておきます。その前に、お友達と作品を見せ合う姿もありました。

いよいよ帰りの時間が近づくと、汚れた洋服を着替えたり、さっとシャワーを浴びたりして、出発の準備を整えます。最後は全員で記念写真を撮り、現地のスタッフに挨拶をしたら、秘密基地とのお別れです。どんなに遊び疲れていても、帰りのバス停まで自分の足で歩き抜きます。バスや電車の中では、まるで電池が切れたかのように、ほとんどの子が満足した表情で夢の中へと誘われていました。

新宿駅に着いたら、お迎えの保護者の方に子どもたちを引き合わせ、全体への簡単なご報告の後、早めの解散となりました。その日の夜は、今日一日の楽しかった思い出を夢に見ながら、みんなぐっすりと眠りについたことでしょう。

次回企画は、9月23日(土)開催の「トトロの森の稲刈り体験」です。5月に開催した「トトロの森の田植え体験」にて、子どもたちが北山公園内の田んぼに植えた稲を刈っていきます。その後も、冬に向けた企画が多数あります。子どもたちにとって、自立心を育む豊かな体験機会をお見逃しなく!

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